・キミ以外欲しくない
3

「……どうでしょうか?」


素敵な部屋で、二人きり。
色気のある話をするでもなく、風呂上がりの私はリビングに飛び込むなり、副社長に仕事話を持ち掛けていた。

全ての物を一流品で揃えるのは、やはり私のような庶民には手が届かないことを実感したから。


「毎日暮らすのに、身近な物。例えば消耗品等は背伸びをする事無く、敢えて手頃な品を揃えた方が生活イメージが沸くというか。身近な生活が想像できるようなお部屋で、手が届きそうな気がするんじゃないかなって」


思いついた勢いで力説した私の話を、黙って最後まで聞いてくれた副社長は「いいんじゃないか」と認めてくれた。


「明日は休みだし、実際に見に行ってみるか? いいものがあれば揃えてしまってもいいし」

「はい! でも、簡単に変更などして大丈夫でしょうか。次の会議で皆さんの合意を得た方が……」

「これは君の企画だ。小さな変更等構わない」


副社長が言ってくれるだけで、不安が自信に変わる。
不思議なことに、何でも出来てしまう様な気にさえなってしまう。


「朝からデートなんだから、早く寝ろ」

「はい?」
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