君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

【甘く溶け込む愛】


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ーーー優葉が、和泉の前から去った直後。

「ハッ、今日は厄日だな………」

和泉はそうポツリと呟くと、自身を嘲笑った。

関本に風邪だの、腹痛だの仮病を使わせ川野スクールに行かない口実を作らせたがーーー逆にそれが、関本を不審がらせ、和泉の母親である瀬名 穂奈美(せな ほなみ)に暴露されてしまう羽目になった。

普段、穂奈美は和泉の父である悟の東京にある議員事務所で働いており、住まいも構えているので滅多に帰ってこない。

和泉にとって、昔から父と母は遠い存在であり………そして"あれ"があってからは憎むべき存在でもあった。

なので、穂奈美が何の音沙汰も無く帰ってきた時はーーー和泉は心の底から関本を忌々しく思った。

『もう2週間も川野スクールに行ってないですって? 何を考えてるのよ、あなたって子は!! 文系教科が他の教科よりも偏差値が低いのだから勉強なさいってあれほど言ったでしょ!?受験はもう、すぐそこなのよ!!今すぐ行きなさい!!いいわね!?』

そして、相変わらず和泉の意見をロクに聴く事もなく穂奈美は学業を疎かにしていた和泉に一方的に激怒し、無理矢理、和泉を川野スクールへと連行した。


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