君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

川野スクールに入ると、和泉は優葉の顔が見れずにいた。

そもそも、和泉が川野スクールに行かなかったのはーーー優葉に会ってしまうと、どうしても李人に言われた事を思い出してしまうので、それが堪らなく嫌だったからだった。

(どうすれば良いんだよ………)

和泉が、心内で悩み苦しんでいる間も穂奈美は和泉に構うことなく優葉の方へ行き、 和泉に早くこいなどと言い出したので和泉は渋々、優葉の元へ向かった。

更に、穂奈美は優葉に和泉が川野スクールに行かなかったのは和泉が勉強に嫌気がさしたからであり、優葉にそれを強く指導しろと全く和泉の胸中とは異なる事を言い出す始末だった。

和泉は、穂奈美の昔と何一つ変わらない自分の意を何が何でも押し通し続ける姿にうんざりしながらも沈黙を貫いていた。

(………俺の口から本当の事を言える訳がない。 それなら、いっそのこと、このバカな母親の暴走に乗っかるのも悪くないなーーー)

和泉がそう思い始めていた時ーーー優葉が、口を開いた。

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