眠り姫の憂鬱
エピローグ
私達はその後、滞りなく結納を済ませ、結婚式の準備を進めた。(可愛らしい洋館の家は私が気に入っていたので、ショウゴさんにお願いして、しばらくそのまま住み続ける事になった。)


ショウゴさんは相変わらず、束縛系で私をそばに置いておきたがる。

まあ、私も愛しているので、目を瞑っておくことにする。



結婚式の3日前、

私はいつものようにショウゴさんの腕の中で目覚めると、
突然、記憶が戻っていた。

母の事も、父が小学生の時病気で亡くなったことも、その後、島田パパがずっと一緒にいてくれ、私には半分血が繋がった弟がいる事も、

すずちゃんとよくショッピングに出かけた事も、受付の同僚達の顔も
みんなみんな突然、知っていることになっていた。


もちろん、池谷 翔(いけたに しょう)のことも…(池谷はお義母さんの旧姓だ。)

「全部思い出した。」とショウゴさんを起こすと、欠伸をしながら、

「それはよかった。お母さんに電話したら?
俺は先に下に降りてる。」とおはようのキスをして、ベッドから起き上がった。

そうよね。心配かけたし。

とベッドの中でスマホを取り出し、

母に電話をかけ、
よかった。とか、心配かけてごめんなさい。
など話していると、
早い時間にも関わらず、ショウゴさんは身なりを整え、食堂に降りて行った。
いつもは早く起きても、ベッドのなかでふたりでのんびり過ごすのに…

なんか
おかしい…

私は突然、思い出す。
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