人間複製機
高級感
それからあたしは意識的に弘樹を見るようになってしまった。


弘樹の持ち物はほとんどが1学期から変わっている。


筆箱やペンの1つにしてもすべてメーカー物や高級品を使用しているのだ。


どこからそんなお金が湧いてくるんだろう。


弘樹がブランド物やメーカー品が好きだと言う話も聞いたことがなかった。


「さっきから弘樹のことずっと見てるね」


不意にそう声をかけられたあたしはハッと我に返った。


視線を向けると、そこにはクラスメートの笠原マナが立っていた。


マナは何かを勘違いしているようで、ニヤニヤとした笑顔をあたしへ向けている。


「そう?」


あたしは短く返事をして机に広げてある雑誌へ視線を落とした。


それでもう話は終わりだと伝えたのだけれど、マナはお構いなくあたしに近づいてくる。


「ねぇ、もしかして弘樹の事が好き?」


小さな声でそうきかれてあたしはため息を吐き出した。
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