悪魔の囁きは溺愛の始まり

バカンスの結末

お手洗いの外には、私達に背を向けたイケメン3人が立っていた。

その彼らに近づいて行こうとしたが―――


「ねぇ、ナンパしてない?」

「かもね。」


近づこうとしていた足を止めた。彼らの背が高くて見えなかったが、奥に女性が4人ぐらい立っている。


「ふ~ん、彼らはナンパが趣味みたいね。」

「音、諦めな。いくら『バカンスの恋』でも二股とか嫌でしょ。」

「音、諦めて。いくら約束でも応援したくない。」


私と波が音へと視線を向ける。じっと彼らを見つめる音の肩を抱き寄せる。


「音、いくら『ひとときの恋』でも、遊ばれ過ぎるのはプライドが許さないでしょ?」


琴音に小声で囁いた。それを見た波羽も琴音に囁くように呟いた。


「音、他を見つけよ。明日も海に行こ。そしたら声掛けられるかもしれないよ。なんたって、私達は美女3人組だよ。」


クスリと笑う波羽を琴音が見上げる。悪戯な笑みを見せる波羽に琴音にも笑みが浮かぶ。


「だよね?まだ初日だし、いくらイケメンでも二股とかはプライドが許さないわ。」

「でしょ?よし、シャワー浴びに帰って、お洒落して夜ご飯を食べに行こ。」

「うん。」


波羽の悪戯な笑みに琴音にも笑みが浮かぶ。私は琴音の肩を組ながら彼らに背を向けた。
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