君を愛していいのは俺だけ
賞味2カ月の溺愛

「……ダメっ」
「社長の言うことが聞けないの?」
「陽太くん、狡いっ……」

 二月下旬の午前十一時。
 MDの自席へ向かっていたら、空室のミーティングルームへ押し込まれ、キスの嵐を浴びている。


「声は抑えて」

 今度は耳元で囁かれて身悶えた。


「無理っ……」

 やわらかな彼の唇が重なると、仄かにコーヒーの香りがする。
 彼が多忙を極めていて、デートをする時間も取れない“今の私たち”は、キスどまりだ。

 だけど、私の唇はとろけてしまったように火照りっぱなしで。


「今からデートしよっか」
「えっ!?」
「……冗談」

 彼の吐息が耳や首筋にかかり、深くくちづけを交わすだけで腰から崩れ落ちてしまいそうになる。
 私の“イイところ”を見つけるのが好きな彼は、こうしてふたりきりになるたびに私を困らせるのが好きみたいだ。


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