過保護なドクターととろ甘同居
火照った顔にそっと先生の指が触れ、ピクリと体が跳ねる。
撫でるようにして頬を包み込んだ大きな手は、少しひんやりと冷たい感じがした。
間近でじっと見つめられて、先生の切れ長の目に吸い込まれそうになる。
また次第に視界が揺れ、見つめる先生の顔が波打って見えていた。
「忘れたい……です」
何とか出したような小さな声は震えていた。
先生に何かを求めているわけではなかった。
ただ、全てを忘れてしまいたい。
その気持ちが素直に声となって口から出ていた。
頬に触れている先生の手が、耳にかかる髪をかき上げる。
ゆらゆら揺れる視界の中で、傾いた先生の顔が近付くのを見ていた。
再び触れ合った唇は、さっきよりも優しくソフトに私の唇を包む。
角度を変えながら次第に深くなっていくキスは、何も考える隙を与えないように思考を溶かしていく。
ウィスキーの芳香が残る甘く苦い口付けに身を任せ、切なげな吐息を漏らしていた。