過保護なドクターととろ甘同居
Chapter7
午前の診療が終了に近付く昼、十二時半過ぎ。
待合室の患者さんもあと二人。
一人はお会計も済み、診察を待つのは一人の妊婦さんのみだ。
「あと一人か」
「わっ、あっ、先生、びっくりした」
午後のカルテを棚から出していると、いつの間にか受付けへと先生が現れていた。
手を伸ばして取ろうとしていた棚の上のカルテを、長身の先生が代わりに軽々と抜き出してくれる。
「驚きすぎだろ」と笑って差し出した。
「ありがとうございます……」
まともに先生の顔を見上げられない。
先生に付き合ってと言われて一緒にお酒を飲んでから、もう三日……。
あの日の翌日、気付けば私は自分の部屋のベッドで朝を迎えていた。
もちろん一人で、いつも通りの状態で、だ。
慣れないお酒に酔って、先生にあんな形でキスをされて、その後の記憶をたどると、先生は黙って私を腕の中に抱いていてくれた。
何をするわけでもなく、ただじっと。
私は先生の上手すぎた口付けに完全にやられ、蕩けてぼんやりとした状態で身を任せていた。
その後からの記憶がまるっとなくなっていて、状況からすると私はそのまま眠ってしまったのだと考えられる。