15歳、今この瞬間を
想いの矢印
7月に入って1週間が過ぎた。

期末テストも終わっていよいよ夏休みを待つのみとなり、クラスの雰囲気も明るかった。

窓の外の梅雨空を除いてはーーー。

「夢希ちゃん、トイレ行こ!」

「……うん」

ほわほわした小野さんの声に、あたしはゆっくりと立ち上がる。

体育祭以降、少しずつクラスのみんなと話すようになったあたし、まだ慣れないけど…少しずつでいいと菊谷くんに言われ、それが励みになっている気がする。

「いいよなー女子は。オレも仲間に入れてくれよ」

「佐久田くん、それじゃ変態だよ(笑)」

「でもオレと夢希は、運命共同体なんだからな」

「あはは」

小野さんがかわいく笑ったのにつられて、あたしも自然と笑顔になる。

これで……いいんだよね。

あたしは、いちいち自分の反応の良し悪しを確認していないと、まだ少し不安だった。

「……」

その時、ふと目が合った佐久田くんは、ふてくされた顔から笑顔になった。
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