全て美味しく頂きます。
3 Monday ー焼きオニギリ&コンビニおでんー
 月曜日。
 ウィークデイの始まりだが、その日は散々だった。
 何でも大口融資先が倒産したとかで、朝からバタバタしっぱなし。
 窓口テラーの私たちも何人かは後方に回り、一日中振り回されて、結局店舗を出たのは9時頃だった。


「…で、何でワザワザ家の前で待ち合わせすんの?
 一緒に出ればいいじゃないか」 

「は?何言ってるの、当ったり前でしょう」
 コイツは、仕事出来るくせに、バカなのか!

 部屋の鍵を回しながら、私は彼に向きなおって捲し立てた。
 
「皆がいる前で私達が、『それじゃあね』って、仲良く帰っていったら、明らかに誤解を招くでしょう!」
 
 
 今は出張でいないけど、人づてに杉原さんにも伝わっちゃうじゃないか。

 フーッ。
 猫の警戒音を真似た私を、彼はさらっとスルーした。


「左様で。で、今夜は何を食わせてくれるの?」

「あー…と~~」
 
 ん?と迫る彼に、私はモジモジと俯いた。

「…焼おにぎりと…コンビニおでん?」
 
「…………」

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