メトロの中は、近過ぎです!
なんて伝えよう。
回らない頭で一生懸命考えた。

「おまえら、できてんの?」

できてる?
幼稚園の頃の話ですよ、そういうのはちょっと…

「なに簡単にアイツに送らせようとしてんだよ?」

ん?だれに?

「いつもアイツに送ってもらってんのか」

「だれ?」

「アイツだよ。川端」

ものすごい不機嫌そうな大野さん

あぁ、そっちの話なんですか。
はるとくん じゃないんでしたね。

「でも、川端主任は結婚されてますよ」

期待して膨らんだ気持ちの収め方がわからずに若干キツイ言い方になってしまったのは、仕方ないと思う。

「そんなの見れば分かんだろう」

そう言って大野さんは左手の親指で、薬指の指輪の位置を指した。

「おまえ、狙われてんの気づかないのかよ」

そう言い放つと、さも呆れたとため息を吐きながら窓の外へと顔を戻した大野さん
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