浅葱色の魁

新選組の宴が島原である日は
門限がなくなる



酔った勢いで体を触られないよう

宴を抜けるのは、いつものこと




〝陽乃に会いに行ったのだろう〟





そう思われていた







実際は、1人飲み歩くか
夜の河原か屋根上で
ゴロンと横になり酔いを冷ましていた





そして





宴を抜け出したこの日





出会った










「徳川が何だっつーんだ!!」


グデグデに酔った男の独り言に
共感し、絡まれないようにと抜け出したのに、自分から酔っ払いに絡んだ



「よぉおっ!お前も攘夷派か?」


「んあ?お前もか!?」


「おう!俺は、藤堂平助!飲もうぜ!」


「……俺は……東行晋作だ」



咄嗟に変名を名乗った男は、藤堂平助が
新選組の組長であることを知っていた



「晋作!俺は、身分とかなくなればいいと思ってんだ!こうして酒を飲めばさ
会ったばかりの晋作も昔馴染みみたいだろ
刀じゃなくて、こうして言葉を交わせば
誰も傷つかねえのになぁ
どうも、徳川幕府は会話が苦手みたいで」


「力のあるものは、その権力を
無駄に使おうとする
平助のような考えがあれば良いな」


「晋作~!ほら!飲め!」


「そっちこそ!飲め!平助!」




意気投合した2人は
店が終わった後も
夜が明けるまで河原で語った





「また飲もう!平助!」



「おう!またな!晋作!」














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