シンさんは愛妻家
終章。
二杯目のマティーニを頼むと、隣に生意気な男が座る。

かつての恋敵。桜庭誠一。

かつて僕が好きになった果歩を妻にした男。


「俺はバーボンのロック。トキちゃん、久しぶり。結婚したって聞いたけど…」

「やあ、サクちゃん、君も誠太郎くんと家族になったんだろ」

「俺は元から家族なんだよ。もうひとり子どもも生まれたし…」

「また、君にそっくりなんだって…どんだけ遺伝子が強いんだろうな…」


「やあ、シンさん、奥さんは?」と反対側の隣に座るのは東野壮一郎。桜子さんの夫。

「ベビーコーナーに子どもを預けに行った」

「じゃ、果歩ちゃんに会ってるかな…同い年だっけ?シンさんのところの女の子。」

「うちの夏香(なつか)の方が半年年上」と僕が言うと、

「げ、菜歩をいじめるなよ。」と桜庭。

「夏香の方がいじめられそうなんだけど…」

「なんだとお…」

「はいはい、やめて」とパンパンと手を叩いてリュウが現れる。











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