溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
第二章 ビジネスとしての結婚
「これはビジネスだ」

君嶋課長の声にびくんと背中が震える。

モーニングを食べた後、強引に役所に連れて行かれた。
婚姻届の用紙をもらうと、そのまま近くのコーヒーショップに入る。
持っていたペンでさらさらとサインすると、君嶋課長は私へペンを差し出してきた。

「サインしろ」

「でも……」

いきなり、好きでもなんでもない人に、結婚しろとか言われても困る。

「何度も言うが、これはビジネスだ」

「……はい」

君嶋課長はソファーに寄りかかると左肘を背に預け、カップを手にコーヒーを口に運んだ。

「式までもう一週間しかないのに、彼女は仕事を取って渡米した。
普通ならキャンセルするところだが、この結婚は俺にとって重大な意味がある」
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