Perverse second

episode 5




「三崎っ!お前、何でTS356注文入ってねぇの!?」



俺が大阪出張から帰って来た3日後。



営業から戻ってきた三崎に、一番に問い詰めた。



「TS356?」



何のことだか分かっていないのか、三崎は小首をかしげて聞き返す。



「企画からパターン貰ったよね?」



パソコンで全支店や物流センターの在庫状況を確認していた津田さんが、自分のパターン帳を広げてTS356を三崎に差し出した。



「何ですかこれ…。見たことないです」



俺が出張から戻ってきた時には、ちゃんとデスクの上に俺宛のパターン帳は置いてあった。



「4日前に6型パターン貰っただろう?」



三崎だって同じものを受け取っているはずなのだ。



「え…まさか…」



慌ててカバンからパターン帳を取り出し捲る三崎の動向を見守りながら、俺の心臓の動きが激しさを増しだした。



俺宛のパターン帳を持ってきたのは、間違いなく竹下だ。



無駄にキラキラした付箋で、自分を強調したメッセージを綴っていたから。



勿論速攻でごみ箱行きにしてやったけれど。



「やっぱりないです…」



まさか……という気持ちが俺を焦らせる。



「週間入荷予定表は?ここに記載されてるだろ?」



「待って」



用意していた入荷予定表を差し出すと、三崎はクリアファイルを取り出した。



二人で俺のと見比べてみて。



俺達は愕然とした。
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