Perverse second
「嘘でしょ…」



俺の予定表には確かに記載されている品番が、三崎の予定表には記載されておらず空欄になっている。



「どうして…こんな…」



俺達の顧客の中には、うちの商品を中心に構築している店舗や、売上の半分以上を上げている店舗だってある。



一品番だろうと、仕方が無いでは済まないのだ。



そんな事はこの会社で働く人間ならば、誰しも分かっているはずだ。



にもかかわらず、こんなことがおきてしまうなんて。



思い当たる節は、たった一つしかなかった。



「三崎さん。今フリー在庫を確認してるんだけど見てみて」



津田さんにそう言われて回り込み三人で画面を覗き込む。



「総数はまぁまぁ残ってるけど色指定は無理そうだね」



「全部取ってアソート組むしかないっすね」



俺がそう言うと、津田さんは在庫の数字を書き出してくれた。



「これ、今すぐ取り置き伝票上げて物流にファックス。その後すぐ電話で確実に押さえてもらって」



「はいっ」



デスクに戻って早急に取り置き伝票を書き出す三崎の隣で、俺は他店の取り置き状況を確認すべく画面を開いた。



「大丈夫だよ。今回は展示会後だからみんな張り切って営業掛けてるけど、中には入れ込みや過剰取り置きもあるはずだから」



もしかしたら、この状況を招いたのは、俺のせいかもしれない。



そう思って内心焦る俺とは対照的に、津田さんは落ち着いていて、いつもと変わらず笑顔を見せて、三崎の不安を緩和させようとしていた。
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