溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
それなのに私の気持ちは変わってしまったから。結局私も、お父さんと同じなんだって。だからずっと臆病になっていたのかもしれない。

今でも当時のことを思い出すと切なくなり、唇をキュッと噛みしめた。

「じゃあ俺が佐野の気持ちを変えてみせるよ」

「――え」

顔を上げると、真っ直ぐ私を見つめる彼と視線がかち合う。

「佐野に好きになってもらえるよう頑張る。……変わらない気持ちもあるんだって証明してみせるよ」

「佐々木君……」

自信に満ち溢れた表情で言われ、呆気にとられる。

「約束」

そう言うと彼は小指を立てて、私に指切りをしようと促してきた。

「えっと……」

戸惑いながらも彼の小指に絡ませると、力強く指切りされた。

「俺はどんな佐野でも、ずっと好きでいるから。……だから早く佐野も俺のことを好きになって」

甘いセリフに胸がキュンと鳴ってしまった。

そして想像してしまったんだ。佐々木君のことを好きになる未来の自分を――。

もしかしたらそんな未来が訪れるのは、そう遠くないのかもしれないと……。
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