社内恋愛狂想曲
備えあれば憂いなし?
三島課長のご両親の来訪からの一悶着のあと、リビングに戻り気を取り直してタコ焼きパーティーを再開した。

いつもはみんなを車で送るためにお酒を控えることの多い三島課長も、今日はみんな空いている部屋を借りて泊まらせてもらうことになっているので、気兼ねなく一緒にビールを飲んで楽しむことができた。

「そうだ、僕、今日取引先でこんなものをもらったんですけど」

相変わらず夢中でタコ焼きを焼いていた瀧内くんが、鞄の中から封筒を取り出し、三島課長に差し出した。

「これ、よかったらどうぞ」

三島課長が封筒の中を確認すると、チケットらしきものが2枚入っていた。

「映画のチケット?」

「今上映中の映画です。面白いらしいですよ。志織さんと二人で楽しんで来てください」

さっきから気になってはいたけれど、いつの間にやら瀧内くんの中で私はすっかり“志織さん”で定着したらしい。

「明後日が最終日なんですって。明後日はバレーの練習日だし、行くなら明日しかないでしょ?ホントは志織さんを誘って観に行くつもりだったけど、僕は明日は用があって行けないので、潤さんに譲ります」

なぜだかわからないけど、私はどうやら瀧内くんにずいぶんなつかれているようだ。



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