社内恋愛狂想曲
Accidents will happen
よく眠れないまま月曜の朝を迎えた。

けたたましく鳴り響く目覚まし時計のアラームを止めて、今日が日曜なら良かったのにと思いながら起き上がる。

顔を洗いながら、今日は社員食堂には行かずに、できるだけ潤さんとは顔を合わせないようにしようと考えていると、スマホの着信音が鳴った。

タオルで顔を拭いて、こんな朝早くから誰だろうと思いながら部屋に戻ってスマホの画面を見ると、発信者は有田課長だった。

「おはようございます、佐野です」

『おはよう。朝早くに悪いな』

有田課長はまだ少し眠そうな声をしている。

「はい、何か急用ですか?」

『急で悪いんだけど、今日から水曜まで出張頼めるかな?』

詳しく話を聞くと、今日から関西の支社と工場へ出張することになっていた川本くんが急な発熱で仕事を休まざるを得なくなってしまったのだけど、仕事の内容を把握している者が課長と私以外におらず、課長は今日と明日は大事な会議があって行けないので、私に行って欲しいということだった。

そういうことならしかたがない。

それに会社には行きづらいと思っていたところだし、出張の代役は私にとって好都合だ。

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