理系教授の秘密は甘々のはじまり

波実の本音

「真澄さん、私、リアルな男性には興味なかったんです」

「ああ、そうだろうな。俺も同じようなもんだった」

「私の母は、父が私の幼少の頃に亡くなった後、寂しくて、側にいる男性に依存してしまうようになっていったんです」

真澄は、波実の腰を抱いたまま黙って聞いている。

「私達は母子というより友人のような関係でした。母は、男性に少し優しくされるとすぐにその人に夢中になり、捨てられてはまた、別の人を好きになる。その悩みを包み隠さず話してくるような幼い母です」

波実は苦笑する。

「今は素敵な男性と巡り会って幸せに暮らしているようですが、私が大学生になって家を出るまでは、ろくでもない男ばかりに引っ掛かって、本当に見てるこっちも辛かったです」

真澄が、涙目の波実の頭を優しく撫でた。

「父を愛していたからこそ寂しかったんだと思いますけど、それを他の人で埋める母が理解できなくて。それに母が好きになる男は皆、二股とか言葉によるDVもどきでしたから」

「波実は何もされなかったのか」

真澄が心配そうに聞いてくる。

「ええ、母は絶対に男を家には連れてきませんでしたから。だから、私は一人で留守番させられることが多くて、必然的に漫画やアニメが子守りをしてくれるようになったんです」

「俺と同じだな。俺も両親が仕事でいなくて、一人で留守番してたから」

真澄の言葉が波実の心に浸透する。似たような境遇だったからこそわかり合う部分が大きいかったのかもしれない。

「誰かを好きになってもそれは永遠ではなくて、結婚もゴールではないなら、漫画の世界は夢を与えてくれる単なる逃げ場所だと捉えるようになりました。2次元は裏切らない。ヒーローも頭の中では私だけの王子さまでいてくれる,,,。そんな思いが私を恋愛から遠ざけていたのかもしれません」

「俺は波実を裏切らないって誓うよ」

「ずっと,,,私だけを愛してくれますか?」

「ああ、約束する」

真澄が波実の唇を塞いだ。早急な手は、波実の浴衣の裾から潜り込んで、波実の全てを求め始める。

波実はもう、何も怖くないと思った。真澄に全てを任せて、二人の体は一つになる。もう離れられないとでもいうように,,,。
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