冷酷な王さまは愛し方を知らない

不慣れな生活の始まり



「ここがあなたが生活する部屋です。国王にお会いする前に相応しい衣装に着替えていただきます」




通された王城の中の一室。
それは、想像できないほど広い部屋だった。
大きなベッドや、豪華な鏡台。

テーブルにソファ。
いたるものが規格外というか。



「ここは候補者として与えられる部屋になります。もし、正式に王妃として決定した暁には王妃さまのための部屋に移っていただきます」

「候補者として…このお部屋…」



ならば王妃さまのお部屋となるとどれほどのものなのだろう。
候補者を集めて、王さまは何をしようというのだろう。



「候補者は貴方の他に3名いらっしゃいます」

「3名…。あの…、その方々はどういった方なのでしょう」

「セルシー王国の第二王女さま、イリア王国で一番大きな領土を護っている貴族の娘、それからあなたと同じ庶民の娘。以上です」




庶民の方も一人いるとはいえ王女さまや、貴族の娘様…、王族に関係のあるお方ばかり。
そんな中に私が入っているの…?


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