無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
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パーティでは、参加者全員が駿太郎に誕生日プレゼントを準備してくれていた。

スタッフの中には、アメリカの家庭料理を持ち込んでくれたものもいた。

「彩月さんのおかげで16年ぶりに駿太郎の笑顔が見られたわ」

「お兄ちゃんってあんな風に笑えるんだ?驚いた」

駿太郎の母と妹の真理香は涙ぐんで、彩月の両手をとりながら感謝の意を表した。

父である羽生社長も

「本当は、ウィングライフインテリアの経営改善には最初からユーゴが関わる予定にしていたんだけど」

羽生社長は笑顔で続けた。

「彩月さんがサンフランシスコに行くからとはいえ、正直、駿太郎がついていくと言うことも、こちらで働くことも想像していなかった」

「ユーゴはアルバイトではなく、9月から本社の正規採用となったインテリアデザイナー件経営コンサルタントなんだよ」

ユーゴも

『ゴメンね、駿太郎、嘘をついたつもりはないよ』

と言って笑った。

実はユーゴは今年すでに大学を卒業していた。

この誕生日会を成功させるために、挨拶に来たユーゴを捕まえて、前もって話を合わせて欲しいと社長と翔一郎が頼んでいたのだ。

今日も彩月がスムーズに帰社し、誕生日会の準備をするために、駿太郎に足止めを食わせる役回り立ったらしい。

"期せずして、翔一郎と彩月がないしょ話をしたり、一緒に帰宅するところを目撃されたため、予定が大幅に狂った"

とユーゴは肩をすくめた。

『悪かったな、ユーゴ。ヤキモチやきの勘違い野郎であるこいつ(駿太郎)が迷惑かけて」

翔一郎が駿太郎の頭を羽交い締めしながらからかってきた。

『いや、レアな駿太郎が見られて楽しかったよ』

集まったみんなが声をあげて笑った。
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