無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
駿太郎の家族は、ここよりも広くて部屋数の多い翔一郎のペントハウスに戻って言った。

彩月の祖父母は施設に、賢もテナントスタッフも自宅に帰っていった。

二人で洗い物をしながら、駿太郎は彩月の頭にちょこんと顎をのせた。

「ヤキモチ焼くなんて、俺バカみたいだな」

「私こそうまくやれなくてゴメンね。駿太郎を驚かせたくて,,,。それなのに駿太郎に誤解させて悲しませるなんて


「いや、こんな感情的になるなんて、自分でもビックリしてる。彩月のことがどんなに好きかわかって戸惑ったよ


グリグリと顎を頭に押し付けて駿太郎が笑う。

「,,,!」

突然、彩月が顔を真っ赤にしてうつむいた。

「どうした?彩月、熱でもあるのか」

「違うの」

小さく首をふる彩月はどうしようもなく可愛い。

駿太郎は背中から彩月をギュッと抱き締めた。

「その笑顔、家族と私以外には見せないで。私だっていつも女性客にヤキモチ焼いているの。駿太郎、アニメの王子さまみたいな顔してるでしょ?アメリカには日本のアニメオタク女子が結構多いんだから!」

自分と同じように独占欲を示してくれる彩月がどうしようもなく愛しい。

「俺、ユーゴと一緒にウィングライフインテリアが経営改善するようにこれからもこっちで頑張るよ。彩月の横で胸はって笑っていたい」

誕生日会なんてベタな方法で愛を確かめ合うなんて、何の問題もなく成長した大人には考えられないだろう。

でもこの無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法は、相手を思いやる彩月のまっすぐな気持ちと素直な愛情がスパイスだったのかもしれない。

その後、二人が無事に二つのテナントの経営改善を果たし、日本で行われるフルマラソンの完走まで果たしたのはまた別の話。

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