ヴァーチャル・リアリティ
終わらないゲーム
ドサッという音が聞こえてきて、あたしはゆっくりと目を開けた。


辺りが静寂に包まれていた。


体の力をぬいて視線を下へ移動していく。


音の正体が、陽大が倒れた時の音だとすぐに理解した。


陽大は首と鼻先から血を流し、横倒しに倒れている。


首からは今でもドクドクと血が流れ出していて、鉄の匂いが充満し始めていた。


「陽大……?」


情けないくらい震えた声でそう言っていた。


握りしめていた棒が音を立てて床に転がる。


あたしはその場にしゃがみ込み、キツク目を閉じている陽大の頬に触れた。
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