国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
第二章 その男の正体
目映いばかりの栄華を見渡すように、ラタニアの王宮は堂々と小高い丘の上に佇んでいた。

石造りの建物は三階まであり、重厚な正門は細かな彫刻が施されていた。城を囲う水堀は、王都を流れる運河の終着点だった。見事な建築技術がうかがえる外観にも増して、城内も高価な骨董品が各所に置かれ、質のいい真紅の絨毯が高級感を漂わせていた。

そんなラタニアの頂点に絶対な尊い存在として、国王レイ・ヴァリエ・リシャールは国の象徴として君臨している。
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