御曹司は眠り姫に愛を囁く
共犯者 瑛side~
俺と陸翔は貴崎さんをタクシー乗り場まで見送った。

「今夜はご馳走様でした」

「貴崎さんにはウーロン茶しか奢ってないよ」
ウーロン茶一杯で、貴崎さんは丁寧に礼を言う。
そんな律儀で真面目な所は2年前と変わっていない。

―――――稜のコトも忘れられずにいて、陸翔との交際に踏み込めないでいた。

全ては時間が解決してくれる。

そう思っていた俺だが、彼女の時計の針は進んでいなかった。

貴崎さんは後ろを振り返り、タクシーから俺たちが見えなくなるまで、手を振り続けた。


俺と陸翔もそんな彼女に応え、手を振り続ける。


「帰ったな・・・瑛」

「ああ~今度は何処で飲む?」


「お前の部屋はどうだ?」

「俺の部屋??」

「お前に訊きたいコトがあるんだ。瑛」

さっきまで、にこやかに笑っていた陸翔の顔が急に真剣になった。
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