御曹司は眠り姫に愛を囁く
「でも、良かった・・・」

「須藤さんに稜さんとのコト、昨日話したんですね」

「・・・俺と君の様子を見て、陸翔は何かを感じたらしい・・・」

椎名さんは腰上げて、椅子から立ち上がる。

「陸翔と何かあれば…いつでも相談して。貴崎さん」

今も昔も彼は私の相談役。

「須藤さんは稜さんと違って、何もありませんよ」

「・・・そうだな」


椎名さんは私の言葉に同調する。


「まぁ、稜の時と同じ言葉を言ったと思うけど・・・君は何も相談しなかった」

出来るはずがない。彼は稜さんの兄で会社副社長。

あの時は、私と彼は会社で繋がっていたけど、今は全く繋がりがない。

須藤さんと付き合えば、彼は彼氏の友人か・・・


何とも曖昧な関係。


「赤ちゃんの誕生、楽しみですね・・・」

「あ・・・そうだな」

椎名さんは顔を逸らし、瞳に悲しそうな光を宿す。

「椎名さん?」

「別に何でもない・・・早く、陸翔の所に戻ってやれ」

「・・・お仕事頑張って下さい」

「ありがとう」



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