決して結ばれることのない、赤い糸
隼人の言うとおり、クミちゃんはいい人だった。

話しやすくて、聞き上手で。


だから、気づけばいつの間にか話していた。

――わたしと隼人の本当の関係を。


だけど、クミちゃんはとくに驚く様子もなかった。


「そうなんだ。かりんちゃんだったんだね」

「…え?」

「隼人がずっと想っていた人って」


優しく微笑んでくれるクミちゃん。


わたしの気持ちを知ったクミちゃんは、わたしの知らない隼人のことを話してくれた。



隼人は、クミちゃんが通っていた中学校に、2年生の4月下旬に転校してきた。

その中学校は、壱葉中学がある町よりも、都道府県を跨いだところにあった。


…隼人、そんなところに引っ越していたんだ。


転校してきた頃の隼人は、まだ松葉杖をついていた。

たまたま隣の席になったクミちゃんが、不自由そうにする隼人を手伝うようになり、仲よくなったんだそう。
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