君と見つける、恋の思い出
春
アルバム
あの日から、十年の月日が流れた。
十年だ。
当たり前だが、変わらなかったことより、変わったことのほうが多い。
変わらなかったこと。
叶花の入退院を繰り返す生活。
叶花の無駄に明るい性格。
変わったこと。
俺と叶花が出会って二年経ったころ、翔太さんが再婚し、叶花に新しい母親と兄ができた。
それからさらに三年後、翔太さんが事故に遭って亡くなった。
翔太さんが死んだときは、俺も叶花もしばらく笑えなかった。
俺はもともと笑うようなタイプじゃなかったが。
俺でもかなりショックだったから、叶花の悲しさなんて計り知れない。
それでも、半年後には笑顔を見せるようになった。
辛いはずなのに、笑顔を絶やさなかった。
俺は無理に笑うところを見るたびにイラついて、どうしてそんなふうに笑うのか、聞いたことがある。
「みんなに心配かけたくないの。それに、私といえば笑顔でしょ?」