日向はキミのもの。











決して顔はみえなかったけど、安心した。



自分の彼氏が助けに来てくれたんだって、

私のこと気にかけてくれたんだって、

そう思ったら、すっごく嬉しい。






キーンコーンカーンコーン


1限目終了のチャイムがなる。





私は優希が投げてくれたブレザーを肩にかけて
廊下を覗いた。



人の様子は全くない暗闇の中にあるトイレ。



有田さんはあえてここを選んだんだ。





目立ちやすいトイレなんて選ぶはずもない。







中学生時代からいじめられていた私からすれば、このようないじめは屁の河童。


慣れちゃいけないことなんだけどね。





「・・・日向ちゃ〜ん!」





ぼーっと下を向いていたら自分の名前が呼ばれた気がして、前を向いた。




すると、大きく手を振って走ってくる男女を見つけた。





「優希!それに・・・つ、つばさちゃん!」




つばさちゃんまで来てくれた。

本当に迷惑をかけてしまったなぁ。






「大丈夫??」


2人は私の元へ着いたなり、なにか道具を出し始めた。





「ちょっと、何これ・・・


・・・うっ。」





つばさちゃんが取り出したものは、10枚くらい積んである、雑巾。



それを早速 顔につけられたのだ。






「みんなから借りたんだよ〜!
多少汚くとも許して〜」




そんな可愛い顔で言われたら「許さない」なんて言えない。



「うぅ・・・」



それにしてもこの雑巾は誰のなんだ??





「あっ、美玲ちゃんからの伝言だけど、
『風邪引かないでね』だって。」



「みんな知ってるの??」



「いーやーぁ、

美玲ちゃんと優希くんと私しか知らないよ。




・・・なに?もしかして言ってほしかった?!」



「なっ、んなわけ!」



「だよねー!」





つばさちゃんといるとすっごく楽しい。




優希といる時も楽しい。








大切な人といるだけで、その時間が特別な時間になる。















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