『One more Love♡』
「パパとおちごと,いっちょにしゅるの?」
「一緒に出来たらいいなぁ~。って話をしてるんだよ」
「ふーん,しょうなんだぁ~。」

璃桜くんが普通に編集長と話してる事に,慎さんは驚く。

「ココちゃん,璃桜は,あの人…編集長さんは平気なの?」
「はい。最初は怖がってましたけど…璃桜くんなりに,編集長の事を理解して懐いてるんだと思います。もしかしたら,あたし達が気付かなかった編集長の心に触れた…とか…」

あたしが慎さんにそう言うと,慎さんは,顎下に指を持って行くと,

「えっと…編集長さん?」
「あ…名前をまだ,名乗ってませんでしたね…私は,栄友社の週刊 Jeanneの編集長を務めております,十時 雨音と申します」

編集長は,璃桜くんを片手で抱っこしながら,ジャケットの内ポケットから名刺を取り出し慎さんに渡す。

「ご丁寧にどうも。ワタシは,渡さなくてもご存知かも知れないけど,美容サロン« SAKULA*❀٭»のオーナー兼現役メイクアップアーティストの,桜華縞 慎よ。そして…」

慎さんは,編集長から璃桜くんを引き剥がして片腕で抱っこをし,

「この子は,ワタシの愛息子の桜華縞 璃桜。」

慎さんは,璃桜くんの紹介までした後,編集長に名刺を渡したのだ。

「ところで,私に何か…?」
「あ,そうだったわ。ワタシの取材をする記者の事だけど…編集長,あなたに頼めないかしら?」
「えっ?」
「璃桜は,あなたには,懐いてるみたいだから,取材に来ても大丈夫そうだと思ったんだけど…」

慎さんがそこまで言うと,編集長は,勢い良く頭を下げ,

「あ,ありがとうございます。では,スケジュールとか調整してご連絡させて頂きます。」
「了解。じゃあ連絡待ってるわ」

慎さんは,編集長に軽く会釈すると,〝では,失礼するわ〟っと言って車の方へ向かう。

「じゃ,あたしも失礼しますします」

頭を下げて,慎さんを追い掛けて車に乗り込み,買い物へと向かったのだった。
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