年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
旅先で出会った人と初めて知る事実
「わぁっ……凄い!」


ドアを開けた途端、眩い陽光が目に飛び込んでくる。
私は部屋のインテリアもそこそこに窓辺に向いて走りだし、眼前に広がる海原を見遣った。


輝はベルボーイから簡単に部屋の照明などの説明を受けている。
私はそれを背中越しに聞き、視界には波打つ相模湾を見つめた。


「失礼します」とベルボーイがドアを閉める。
パタンと音がすると輝が側へやって来て、「気に入った?」と訊いてきた。


「うん、すっごく素敵な眺め」


振り返って笑いかけると目を細めて笑い返される。
それから彼の手が頬に伸びてきて、望美…と小さな声で名前を呼びながらキスを落とされた。


「えっ…あの、輝…?」


背中に絡まってくる腕に狼狽える。
まさかいきなり!?と身構える私の首筋に擦り寄ってくる彼の唇に胸を弾ませながら、「ちょ、ちょっと…」と身を竦ませた。


「待って」

「どうして」

「だって、まだ着いたばかりだし」


それにまだ夜じゃない…と手を前に押しやろうとするが、それもあっさり彼の手に握られた。


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