旦那様からのI LOVE YOU「 雪菜偏」
日本家屋の見かけとは違いリビン
グは洋風の造りだった。


隆司が80歳の高齢とゆう事もあり
使いやすそうな家具が並んでいる。

隆司は丸いテーブルに座り毎朝
コーヒーを飲む事が唯一の楽しみに
なっていた。

田中さん、コーヒーを!
シコンノボタンの濃い紫の花が可愛
らしく沢山の花を付けていた。
高さ1メートル位の枝をはった花は
孫娘のように愛らしく見えた。

「ハイハイ旦那様。」

田中さんは隆司の気に入りの家政婦
さんだ。

隆司の好みを知り、嫌いなものも
工夫して隆司の食事を作っている。

もうすぐ田中さんも70歳が近いので
奈津に料理を教えたいが本人がやる
気ないので旦那様の元気な間は頑張
ろうと思っている。

「奈津は?」

「奈津さんは、フられたとかで
自棄酒を飲まれてまだ、お休みで
すよ。
夕方近くお目覚めかもしれませんね。


隆司は新聞を読みながら

「ほほう。 奈津を振るとは骨がある
 男もいるんだな。」

コポコポコポ

「なんか同級生で東南西大学を首席
で出られた方とか、おっしゃってま
したよ。」

      「コトン」

静寂の中、田中さんが珈琲を
テーブルに置く音が軽く響く。

白いカップに湯気がフワフワと
浮かんでいる。
珈琲の芳しい香りがリビング一帯に
立ちこめる。


「いい男なのか?」


コーヒを手にしながら隆司が
聞いてくる。

「存じあげませんが、
かなりの男前らしいですから、
おもてになられるんでしょう。」


「奈津が大門の跡取りと、知って
おるのか? 」

「さあ?多分知られてないと思いま
すよ。」

 田中さんは着物の袖をまくり
 テーブルに隆司の朝食を並べた。

「そうか‥。」


隆司は暫く考えて


「一度合って、どんな男か見てみるか。」


そう言うと田中さんの作った工夫い
っぱいのサンドイッチを、ほうば
った。



大学首席、山形大夢26歳
アニカホールディングスグーループ
課長職

「ホホウ、26歳の若僧でやって
いけるのか? 」

「はい。なかなかの手腕と聞いて
 おります。」

秘書の山倉は真面目一本でキチンと
整えられた七三の
ビジネスツーブロックの髪をかきあ
げ黒縁メガネのめつけんを人差し指で
押した。

「そうか、奈津の婿にむかえたいが、
どう思う ?」

「はい。人望もあつく温厚で、
なかなかの人 物らしく宜しいかと
思ぃます。」

「ふむふむそうか。して女は
おるのか?」

「はぁ、彼女がいるようです。」

興味深く聞いていた隆司の顔が
眉間にシワをよせ

「かたを付けろ!! 

金はいくら積んでもいい 。
奈津のためならはした金にすぎん。
儂は、曾孫を早く見たいのだ。」

「はい。直ぐに手配致します。」
 隆司が取り乱しても山倉は
冷静沈着で姿勢を正しキチンと頭
を下げ会長室を出ていった。


















 






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