クラスメイトの告白。


洗い物を終えると、窓の外は薄暗くなっていた。


「そろそろ行こっか」


「うん」


彼は、キャップの帽子を深くかぶり、黒縁のメガネをかけた。


学校に来るときのような大げさな変装ではないけれど、パッと見た感じ誰だかわからない。


「病院に行くときも変装する必要あるの?」


私の質問に、彼は無言の笑顔で返すだけだった。


でも、素顔のまま一緒に歩いているところをもし誰かに見られたら、あのイケメンは誰だって、この田舎町ではすぐに噂になってしまう気がする。


一緒に歩いている私まで、みんなに問い詰められそう。


やっぱり伊原くんには、変装してもらうのが安心だよね。


アパートを出た私たちは、白石さんが入院している病院へと向かう。
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