そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
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どれくらい経ったんだろう。

気分が少し落ち着いてきたので、大きく深呼吸する。

ゆっくりと重たい体を起こして、震える手で玄関に落ち崩れた卵を片づけた。

本当は恐くて寂しくて、今すぐにでも実家に電話して帰りたい。

だけど、来週には座談会、そしてその後には新商品の発表会という大事な予定を控えている。

自分を頼りにしてくれてる人がいる限り、その責任を放棄して実家に帰ることはできない。

片づけ終わると、リビングのソファーに体を投げ出すようにして座った。

とにかく、この二つが終わるまではなんとか踏ん張らなくちゃ。

誰かに迷惑をかけたくないから。

祖父にも昔から「他人に迷惑をかけるな」「自分の責任は自分でとれ」と言われ続けてきたから、その言葉は今も私の体に刻み込まれてる。

だけど・・・・・・どうしてこんなことされるんだろう。

『×』といい、生卵をポストに投函されるといい、全く心当たりがなかった。

誰かにそれほどまでに憎まれることは、これまでの人生経験したこともない。

震える体を抱えながら、その夜はベッドに丸まって寝た。

外で何か物音がするたびに目が覚めてほとんど眠れなかったけれど。



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