明日こそ、キミに「好き」を届けます。
story*1 だから、嫌いです。

「小猿、届いてないけど」


「や、やれる……っての!バカにすんな……っよ!」


イスの上に乗って、つま先立ちしている男の子を見上げながら、私は腕を組んであきれた顔で言った。


この教室に私たち以外に人はいない。


なにしろ、今は放課後。


委員会で作製したポスターを教室に掲示するように先生に指示された私たちは、みんながいなくなったこの時間を使って掲示板に貼りつけようとしたのだけれど……。


『それ、俺がやる!』と横から言い出してきた彼にそのポスターを奪い取られてしまったのだ。


……だけど、130センチもない彼が画鋲とポスターを片手に貼りつけることは、全然簡単なことではなくて。

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