「ああ、朝ごはんすっごく楽しみです。昔一回お友達を誘ったら『無理』って、ばっさり断られちゃったんです。そのお金で夜お酒飲みに行きたいって」

「たしかにそういう金額ですかね」

「大丈夫ですよ、わたし、美味しいもの大好きなのでそこにかけるお金はぜんぜんもったいなくない人ですから。同じ食材使い回したようなお料理を食べて、薄い酎ハイ飲むくらいなら、そのお金で特別に美味しいランチが食べたいです」

「まったく同感です」
 ちらりと盗み見ると、神長は正面を向いたまま、わずかに唇の端を上げている。

「でも俺は、ランチよりもどちらかというと朝食のほうがいいですね」
「どうしてですか?」
 有紗は反射的に聞き返していた。

「シンプルなものの方が好きなのかもしれません」

「そっか、食事の中だと朝ごはんがいちばんシンプルかもしれませんよね。お昼と夜でも、味付けだったり料理自体も変わってきますもんね。夜の方がしっかりめというか、おなかに満足感っていうのが前提にあるかんじで」