剛力家の三兄弟

真奈美は開けかけたドアのノブを離し、弁護士先生に頭を下げた。

「やだね!
直ぐ頭に血が上る事務員なんてお断りだ!」

「あれは…禿げ課長が理不尽なことを言うから…
私だって、誰彼構わず噛み付いたりしません!
先生も理不尽なことを言う非常識な悪徳弁護士だったら話は別ですが?」

「はぁ?
俺は非常識な人間じゃないし、悪徳弁護士じゃない!!」

「じゃ問題はないですね?お世話になります!
あっそれから、お金が貯まるまで、この事務所で寝泊まりさせて下さい」

「なっ馬鹿な事を言うんじゃない!
事務所はシェルターじゃないぞ!?
寝泊まりする様には何も用意してない!」

「あーそれなら大丈夫です!
私何処でも寝れますし、布団が無くても重ね着して寒さはしのぎます。
今夜は初雪が降るって天気予報で言ってましたけど、心配しないで下さい!」

「何が心配しないで下さいだ!?
勝手に決めるな!?」

「えっまさか!?
この寒空の中、か弱い女の子を街の中に放り出すなんて、非常識な事言わないですよね?」

「なっ・・・」

「アハハハハハ明憲の負けだね?」

声のした方を見ると、奥のソファーで寝てる人が居た様で、彼は欠伸をしながら起き上がった。

え?
3人目のイケメン。
あれ…?
三つ子?

「俺、禎憲(さだのり)、探偵で、下のカフェのマスター宜しくね?」

「探偵?」

「ここの事務所を、間借りさせてもらってる。
外に書いてあったでしょ?」

ん?
あったかな?…

彼等はやはり三つ子で剛力三兄弟。
長男は弁護士で、剛力明憲(あきのり)さん
そして次男は、刑事で憲剛(けんご)さん 
三男はカフェの店主兼探偵の禎憲(さだのり)さんと、言うらしい。




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