剛力家の三兄弟
第7章 求刑の時
「何しに来た!」
「表の張り紙見て…
また、雇ってもらえませんか?
真奈美さんへの事は十分反省してます。
もう二度とあんな事しませんので…」
ユリは真奈美へも涙で謝罪し許しを求めた。
真奈美は済んだ事だとユリを許したが、禎憲にはユリの涙の謝罪は響かなかった様だ。
「断る!」
「やっぱりダメですか?
じゃ、1つだけ私の望み叶えてもらえますか?」
「あ゛⁉︎ 」
「望みを叶えてくれたら、もう二度とここへ来ないし、真奈美さんへ迷惑かけません。
でも、聞いてくれないと、困る事になるかも知れませんよ?
気持ちが決まったらご連絡下さい」
ユリは含みをもたせた言い方をして、帰っていった。
「禎憲さん・・」
真奈美はユリの言った “ 困る事 ” が、何を意味しているのか分からなく、不安に駆られる事となった。
「心配しなくて良い。
ユリが何を言おうと、二度と真奈美に辛い思いはさせない」
私が辛い思い…?
そんな事より…
お店に…
お客様に…
禎憲さんに迷惑にならなければ良い。
大丈夫かなぁ…
「そう言えば、もうすぐ真奈美誕生日だろ?」
「え?あっそうだ!」
最近色々あって忘れてたわ!
そっか…今度の月曜日、私、誕生日だ。
「日曜日どっか行くか?」
「え?」
「真奈美の好きそうな所って言ったら、やっぱランドか?
よし!
月曜日は仕事だし、今週は副業の方も、今のところ入ってないし、日曜日は朝から二人でランド行くぞ!」
「えっ?
そんな気を遣わなくて良いですよ?
折角の休みなんだし、家でゆっくりして下さいよ?」
エミのパンケーキ事件があってから、禎憲は出来るだけ店を空けない様にしていた。
仕入れも、信頼してるお店へ電話発注して、配達してもらっていたのだ。
副業も、店が開いてる時間には入れない様にして、日曜日にいれていた。
その為、禎憲の休みは全く無くなっていた。
ユリとエミをクビにしてからは、尚の事だった。