剛力家の三兄弟

「もう又、張り紙剥がして!」

「取り敢えずは、俺と真奈美で良いって言ってるだろ?」

「取り敢えずっていつまでですか!?
就職活動したいのに、バイトが入らないと、出来ないじゃないですか!」

何度も求人募集の張り紙を真奈美がしても、その都度、禎憲が剥がしてしまうのだ。運良く、張り紙を見た人から連絡が有っても、面接する前に禎憲が断ってしまう。

「だから、俺のところに永久就職しろって言ってるだろ?」

「はいはい」

「おい、マジで聞けって!」

何度も禎憲は真奈美へプロポーズをするのだが、その度、真奈美に流されてしまっていた。

そんなある日、ユリが客として店に現れたのだ。

「いっらっしゃいま・・」

「やっぱりまだ、真奈美さんいらしたのね?」

「えっえぇ…」

「表にバイトの張り紙してあったけど、人手足りないなら、私雇ってくれる?」

「えっ?ああ、私には権限無いので・・禎憲さん呼びます」

調理場に居た禎憲は、ユリの顔を見るなり怪訝な顔をした。




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