グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
第5章 逆襲と逃亡

 数日後。

 パティーナの容態は安定し、体力も回復してきた。

 すっかり顔色も良くなったパティーナは、シルビアが傍にいてくれた事がうれしくとてもご機嫌である。

 病院のご飯はとても美味しくて、手首を怪我していることもあり、シルビアに甘えて食べさせてもらっていた。


「やっとお母さんに会えて、とっても嬉しいよ」

 満面の笑みで、パティーナがシルビアに言った。

「6年もかかってしまって、ごめんなさいね」

「ううん。だって、6年かかるようにお兄ちゃんと約束していたもん」

「え? 」

「お兄ちゃんと、6年後に会おうねって約束していたの。産まれる前にね」

 どうゆう事なのか分からない顔をしているシルビアを見て、パティーナはちょっと悪戯っぽく笑った。

「お兄ちゃんの名前、当ててみようか? 」

「判るの? 」

「うん。お兄ちゃんの名前は、ジックニーって言うんでしょう? 」

 本当に知っている・・・。

 シルビアはまた、驚いた顔をした。

「お母さん、すっごく驚いているね。私とお兄ちゃんは、産まれる前に、離れ離れになる事知ってたの。だから、私はお父さんを守るから、お兄ちゃんはお母さんを守ってねって約束したの」

「生まれる前の記憶があるって事? 」

「うん。産まれてくるときにね、人生のシナリオって決めてくるの。私とお兄ちゃんは、6歳になったらまた会おうねって約束したの。お母さんが、私が6歳になる時に迎えに来てくれるからってね」

「そうだったの・・・。だから、私がお城に行った時、迷わないで「お母さん」って来てくれたのね」

「うん。もすぐ、お兄ちゃんも来てくれるよ。お父さんと一緒にね」

「え? 」


 コンコン。

 ノックの音に、シルビアはびっくりして振り向いた。
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