幼馴染は恋をする
・ときどき恋、のち愛
「あの、この後、話をしませんか。小さいことから、色んなこと、私達はまだ何もちゃんとなってないから」

「うん、そうしようと思ってたんだ」

「私、ちょっと親に。あ、先に…」

「…うん。もう俺は部屋で帰る挨拶も済まされてるから、部屋に戻ってるよ」

「あ、はい」

…あ、…だから一人だけ出て来たんだ。お母さんがお客さんを送らなかったことはないのに。…今日の柳内さんは、お客さんではないからってことなんだね…。

「大丈夫だ」

肩をポンポンとされた。柳内さんと恵和君が帰って行くのを見送った。


…柳内さんだけに背負わせてはいけない。……ふぅ、私も、話をしよう。
お父さん、と声をかけて、客間の戸を引いた。

「朝……、今日のこれは一体…。話も何も…今日のことは知らないし、そんな、あんな歳上の男の人と、つき合ってる?そんな話も一つも聞いてない、挨拶だなんだと言われても、とにかく…全く冷静にもなれないし、何が何だか…。少し頭を冷やして冷静にならないと理解ができない。理解も何も、母さんだって何も知らないって言うし、はぁ、どうなってるんだ…本当なのか、いや、本当なんだよな…」

「お父さん、ごめんなさい。何も言ってなくて。話は柳内さんから聞いたよね」

「聞いたよ、聞いたけど、それがまだ解らないって言ってるんだ。…解らないんじゃないんだ」

「…うん。今日のこと、いきなりになったから。先に話しておけたらまだ良かったんだけど…一緒に話を聞いてないけど、嘘じゃなくて、変だと思うだろうけど、本当につき合ったりはしてないの…まだ」

「ん。そう聞いた。それだって解らん話だし、つき合っていたとしたら、どうだったんだ?…はぁ、さっぱり解らん。歳の離れた娘と、一体どんな風につき合っていたんだと、詰め寄るにも、つき合ってはないってことだ。だったら何だ?いきなり結婚を見据えたつき合いをしたいだなんて…グルグルするばかりで、解らなくなる……はぁ。これはなんだ一体…」

「ごめんなさい。私…、柳内さんのことがずっと好きだった」

「…朝」

「初めて会ったのは中三の時で、最初に会ったのは恵和君だったの。恵和君と知り合ってそれで恵和君のお父さんなんだって…会って、…好きになったの」

「それからつき合ってたんじゃないのか」

「ううん、つき合ってないよ、本当に。お父さんが思ったように柳内さんも同じ。私は中学生だったし、歳もかなり離れてるし、相手にされるどころか、気持ちさえ言えなかった」

「ん。それが大人として正しい判断だと思う。中学生だ…朝は子供だからな。大人の男とつき合うなんてとんでもない」

…。
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