幼馴染は恋をする
「…だから、ずっとちゃんと言えなくて」
「うん」
「それは、柳内さんにだけじゃなく、お父さんやお母さんにも。…変な噂があった、…路地に連れ込まれたんじゃないかとか、それからも」
「だから、それは柳内さんのことで、何もそんな噂のようなおかしい人物ではなかった、そもそも想像で噂されただけだったってことだな、聞いたよというか、そうなるな」
「うん。どうして私と柳内さんがって思うよね…。私はずっと手紙を持って行ってた。毎日とかそんな感じじゃないけど。月に何度か…、それをずっとしてた。学校に行く前に寄ってポストに入れてた。本人には会ってないから。本当よ」
「うん、解ってる、聞いた」
「それはずっと、高校生の間、続けた…。それでやっと…」
「はぁ、うん。…そういう話だ」
「…うん」
「取り敢えず今日は話を聞いただけだ。何も、承諾どころか、そんな話にはなれない段階だ」
「うん、…解ってる…」
急に来たからってことより、理解すればするほど私と柳内さんでは簡単ではないってことだ。
「貴浩君に随分迷惑をかけたようじゃないか、それはどう思ってるんだ。……まあ、仲がいいから、協力してくれたんだろうとは思うが、朝もだけど、貴浩君に嘘をつかせてしまったこと、解ってるだろうけど、よく考えなさい。優しさに甘えて利用したのは朝だよ」
「…はい」