幼馴染は恋をする
はぁ。……柳内さん…。ドキドキが止まらない。お母さんに平気で嘘をついたからそれもある。私にしたら僅かな時間、初めてだった。手を繋いで歩いた。……ギューッと抱きしめられた、…抱きしめてくれた。
だけど、浮かれてなんかいられない。問題はある。
やっと気持ちを教えてくれた。疑っている訳じゃない…まだ信じられないくらい。…本当に?
卒業したら挨拶に来るって言った。本当に?
一緒に暮らせるようにって、言ったと思う。だから、それって、もうずっと一緒に居ようってことだよね?……本当に?いきなり過ぎて……嘘みたい…。本当に今まで会ってたんだろうか。それすら現実ではない気がした。ずっと長い間会ってなかったから。なんだか、不思議…。沢山つき合いを重ねてきた訳じゃない。言葉だって交わし合ってない。それにスキンシップだって。何もかもなく、全部飛ばして一緒に居ようなんて…。柳内さんはいいんだろうか。何もなくて、それで決めてしまっていいんだろうか。またちゃんと話そうって言った。今日は取り敢えず的なところで終わったってことなんだろうか。
だって、いままで何も…ない。私の一方的な気持ちの押し付けばっかりで…。何一つ、気持ちはもらってなかった。そんな状態でいきなりゴール地点?卒業したら一緒になろうなんて約束は、してないのに。…あの手紙を持って行くのを止めていたら、この結末はなかったことなのかな。
気持ちがなくなったと、その程度だったと判断されてた?
ほぼ、三年。気持ち悪くはなかったんだろうか。あぁ、そこも詳しく話せなかったから。

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