幼馴染は恋をする
恵和君は傷ついてないんだろうか、子供が帰りたいなんて、…恵和君だって空気を読む子だ、きっと。いい子でいようとしてるはずだもの。
それなのに、帰りたいなんて言ってくるなんて、余程居づらかったに違いない。

…私は恵和君が居なかったらいいなんて思ったことはない。むしろ、可愛くて仕方ない。……それも、解らない話なのかな。一緒に寝起きをしたことがある訳じゃない。それこそ、決まった時間だけ、いい時間だけを過ごしただけだから。
…難しいのかな。大人だから、子供より立場が強いって思ってて、それが当たり前だと思ってるから、…だから、ギクシャクするんだ。…何も、生活することの難しさも知らない子供の私だから、知らないから言えることだ。
大人だって機嫌が悪い時だってあるはず。つい苛々して…、我慢して怒らずにいられる人ばかりじゃないはずなんだ。

…好きな人と居るから、そっちが優先したりするのかな。…子供と、好きになった人。どっちが大事なんだろう。比べられるものじゃないと思う。母親の気持ち、女の人の気持ち…。解らないことばっかり…。
そういえば、離婚したって話し始めてくれた時、なぜ離婚したかは言ってくれなかった。それはやっぱり、こういう関係性になっても話さないもの?聞いてはいけないもの?
聞かない方がいいものなの?
こんなこと、誰にも聞けない。
私には何が必要なの?
ただ一緒に居て、出来ることを一生懸命すればいいの?
一緒に暮らすって、ただ好きなだけじゃ駄目なのよね、きっと。

「朝~?長いけど大丈夫なの?」

「あ、は~い、もう出るから~」

「大丈夫ならいいのよ?」

お母さん…。何でもないくらいに、考えてみたこともなかったけど、きっと、こんな風に気にかけることって、家族にとって凄く大事なことなんだと思う。
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