【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
8話 不安の芽
○布団の中。夜。
一人ぼっちの夜は寂しいので、華はいつもよりずっと早い時間に布団にもぐりこんだ。
にもかかわらず、睡魔はなかなかおとずれてはくれない。

今日のことを思い出しながら、自分の気持ちを整理する。
華(デートは悪くなかった……はずだ。少なくとも私はすごく楽しかった)

まずはそれだけで充分、満足すべきなのだと、自分に言い聞かせてみる。
もちろん、いま彼が隣にいてくれて、デートの感想を語り合ったりできていたなら……それはとても幸せなことだけど、いきなり百点満点を求めても仕方ない。
歩みはゆっくりで構わない。少しずつでも、確実に良い方向に進んでいけるのなら大丈夫。

華「よし! 楽しかったことだけ思い出しながら、今日は眠ろう」

彼がいま、どこで、誰といるのか。それは決して考えてはいけない。
楽しいことだけ考えて、いい夢見るんだ!そう強く心に誓って、華はぎゅっと目をつむった。

その誓いも虚しく、眠りが浅く、夜中に何度も目を覚ました。
二度目に目を覚ました時、玄関のドアがカチャリと開く音を聞いた。枕元のスマホを確認すると、深夜1時を過ぎたところだった。

華(こんな時間まで……)

光一が華の様子をうかがうためか、そっと部屋の扉を開けた。
華はなにも悪いことはしていないはずなのに、なぜか慌てて寝たふりをしてしまった。










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