極上御曹司のヘタレな盲愛

追憶

会社の社長をやっている父親同士が幼馴染で親友だったために、同じ年の4月生まれの光輝と、5月生まれの俺は生まれた時から親友だった。

俺達が4つになり、某有名私大付属の幼稚舎に揃って入った年の秋、光輝の家に双子の妹が産まれた。

『二卵性双生児』と光輝のおばさんが訳の分からない事を言っていたが、要するにそっくりな双子とあんまり似ていない双子があって、光輝の所の双子は似ていない方の双子らしい。

初めて見る双子は、確かに4つの俺が見てもあまり似ていないように見えた。

1人の方は、赤ちゃんなのにハッキリとした顔立ちで…鼻も高く目がパッチリとして、テレビの紙オムツのCMで見るようなキレイな赤ちゃんだったが…。

もう1人の方は…ただの『猿』だった。

幼稚舎から帰ると、大体俺の家か、幼稚舎で親友になった悠太の家で遊ぶ事が多かったため、双子と会う事はあまり無かったし関心も無かった。


双子が1歳を過ぎた頃、俺の下に弟が産まれたためか、光輝の家で遊ぶ事も多くなった。

俺は、3つ上の出来のいい兄と、生まれたばかりの5つ下の弟という兄弟構成だ。
ちなみに悠太は一人っ子。

久し振りに光輝の家で会った双子の片方、花蓮は、想像通り綺麗な可愛らしい子に育っていた。
活発な子らしく、俺達の後をチョコチョコ追ってくるような子だった。
キラキラした大きな瞳に長い睫毛、ツヤツヤした髪の美人さんだ。

一方、双子の片割れ…『猿』だった桃は…なんと人間になっていた。

…なんか…すごく…かわいい…。

光輝の母ちゃんの後ろから、おずおずと顔を少しだけ覗かせて俺と悠太の様子を窺っている。

二卵性の双子って、姿形もだけど性格も全く違うんだな。

美人さんの花蓮より一回り小さく、顔のパーツも、ハーフの子みたいな花蓮と比べれば純和風で…言ってみれば『地味』だが…。
黒目がちのまん丸目に下がり眉…鼻も口もちっちゃくて、ふわっとした髪の毛を部分的に編み込んで小さなゴムで留めている姿は…。

なんというか…滅茶苦茶かわいい!

俺達がNゲージを広げて遊んでいると、花蓮は興味津々で悠太と俺の間にちゃっかり入リ、割としっかりした言葉で遊びに参加している。

そんな花蓮とは違い、桃は今度は光輝の背中にピッタリくっついて隠れている。

光輝は慣れているのか…両手でギュッとシャツを捕まえられて、時折「桃、苦しいよ」と首元を下に引っ張っているのに、声はとても優しい。

俺が桃をジッと見ていると目があった。

ビクンと音がしたみたいに桃の体が跳ねて、光輝の背中に消えた。
光輝がそれに気づき、背中の桃を安心させるように優しくポンポンと叩き、振り返って何か優しく言う。

すると桃はニコッと笑って光輝の首にキュッと抱きついたので、光輝はまた「桃、苦しいって!」と言っていた。

それを見ていた俺は…なんというか…光輝に激しく嫉妬したんだ…。

勿論、幼かったので…嫉妬という言葉なんてまだ知らなかったのだが、とにかく光輝の事が羨ましくて仕方がなかった。

兄としての『庇護欲』みたいなものかと思ったが…自分の弟の航我に対して抱きついて欲しいとか、甘えて欲しいとか、懐いて欲しいと思った事は特別なかった。

妹じゃなくてはダメなのかと…母に
「弟を妹に取り替えてくれ」
と駄々をこねて困らせ、父にゲンコツをくらい、兄に鼻で笑われた。

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