香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
7、私が娼婦に?
『あなたは邪魔なのよ』
エマ王女が私の前でアレンと抱き合い、口角をあげる。
『エマ王女がいるからクルミは必要ない。この城から去れ』
アレンにもキツイ言葉を言われ、心はボロボロだった。
ふたりから逃げるようにこの場を去るが、闇が私を覆って……。
何も見えず、息もできず……ただただ苦しかった。
このまま死んでいくんだ……私。
でも、それでいい。
アレンに私は必要ないと言われて……生きる気力を失った。
「く……くる……しい……ぐはっ!?」
次の日の朝、ゲホッゲホッと激しく咳き込んで目が覚めた。
胸を押さえながら息を整える。
「……夢」
そう呟くが、それが現実に近いことはよくわかっていた。
枕が涙で濡れていて冷たい。
高校の時、好きな男の子に告白して振られた時だって、寝ながら泣くなんてことはなかった。
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