ただ愛されたいだけなのに

5.




   —懲りないバーチャル女—


 目が覚めてから、寝る寸前までメッセージを送り合う。
 正紀の冬休みも、残すところあと四日。ということは、昼間に電話をするチャンスも、あと四回だけしか残っていない。
 年が明けてから三日、いまだにクリスマスの幸せを引きずっているわたしは、自分が無職だということを、すっかり忘れていた。

「やばいよね、ほんと。やばい、やばい、やばい」わたしは発作のように呟いた。「まぁ、白田が多めに給料出してくれたからあと二ヶ月は遊んでられるけど……あーもう、どうしよう」

「大丈夫か? まぁ、二ヶ月分の余裕があるならそんなに焦る必要も——」
「うんうんうん。そうだよ」わたしは喋る番犬になった。「でももうやだ! 働きたくなんかない。どこに行っても嫌なオバさんがいるし、また一からいろいろ覚えなきゃいけないなんて、ほんとにサイアクだよ。それにわたし、仕事の時間に拘束されたくない」

「そうだな……あー、はやく同棲したいな」正紀がぼやいた。

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